小豆じまん

2019年12月18日

うどん職人が教える!讃岐うどんの硬いとコシの違いを見分ける方法

讃岐うどんの特徴とは?硬いとコシの違いは分かる?
讃岐うどんの特徴と言えばコシの強いつるつるとした喉ごしのよい麺、イリコでとる旨みの強いあっさり出汁です。
出汁の違いや旨み、風味はある程度言葉で説明して理解してもらえるのですが、讃岐うどんのコシについての説明はなかなか難しいところです。
よく言われるのが「硬いとコシは違うの?」ということ。

ずばり!!違います。全然違います。

讃岐うどんのコシは弾力と粘りのあることを指します。
讃岐うどんの弾力とは歯でかんだときのブツッと切れない食感、粘りはモチッとした食感なのですが、言葉で伝えるのは難しいですね。
とにかく食べればわかります!!となりがちですが、文字でコシを感じてもらえるようまとめてみました。

讃岐うどんのコシ≠硬い
讃岐うどんのコシの話に入る前に余談です。
「讃岐うどんが固い」と表現されていることがありますが、「麺がかたい」という時は「硬い」という漢字を使います。
固いの反対語はゆるいです。硬いの反対語はやわらかいです。
ということで讃岐うどんは硬くはないですが、麺の状態を表すときは「硬い」という漢字を使いますというお話でした。

では本題です。
讃岐うどんのコシについて、讃岐うどんに関してうどんが硬いという表現は合いません。
讃岐うどんのコシを別の言葉で表現するのであれば「弾力」という言葉が一番近いです。
うどんのコシ、弾力は小麦が持つ性質に関係します。小麦に加える塩の役割も重要です。

◎小麦粉の性質について

まずは小麦粉の種類です。強力粉・準強力粉・中力粉・薄力粉があります。
うどんを作るときに選ぶのは中力粉です。
中力粉にはグレードがあります。
小麦粉はグレードが上がるにつれ、タンパク質の含有量が少なくなります。
コシのあるうどんを作ろうと思ったら、タンパク質の含有量の多い小麦粉を選べばよいと思いがちですが、タンパク質の含有量の多い小麦粉でうどんを作ると黒っぽいうどんになってしまいます。
讃岐うどんは見た目も大事。白くてコシのある喉ごしの良いつるんとしたうどんを作るために、お店でオリジナルブレンドの小麦粉を使うんですね。

先に述べた「コシのあるうどんを作るのにタンパク質含有量の多い小麦粉を選べばよい」ということについて簡単に補足します。
小麦粉に含まれるたんぱく質=グルテンに塩水が加わると、粘り強く弾力のある生地ができます。
タンパク質と塩水の絶妙なバランスによって生じる、粘り強さと弾力がコシにつながるのです。
ですから、単純に考えてしまうとタンパク質の含有量が多いほうがコシの強いうどんができると思いがちですが、讃岐うどんのコシはそんな単純なものではないのです。

◆硬いとコシの違いがはっきり分かる讃岐うどんの実験
生うどんや半生うどん、乾燥うどんでも試せます。
たっぷりの熱湯でうどんを茹でます。
おすすめの茹で時間になったら冷水でしめます。
この時にうどんを一本だけ氷水でしめてみてください。

冷水でしめたうどんはコシのあるうどんになっているはずです。
氷水でしめたうどんは硬い食感になっていると思います。

この実験、実は老舗うどん店の職人技に基づくものです。
夏に自宅で冷たいうどんを食べようとして、茹でた後に氷水でキンキンに冷やしたのです。
早く冷えるし、よく冷えたうどんは美味しいはずでした。
が、硬かったのです。
その時の衝撃と言ったら!!食べらるものではありませんでしたよ。
硬いうどんと言えば、まさしく氷水で冷やしすぎたうどんです。
賞味期限を確認したり、茹で時間を間違えたのかと作り方を見直したりした苦い経験です。

コシと硬いの違いを体感できる簡単な実験です。
全部使うともったいないので、一本か短く切って試してみてください。
少量でも違いがはっきり分かります。

一覧へ戻る