小豆じまん

2020年1月14日

職人技が光る「手延べ素麺」の作り方

麺の製造方法は「手延べ麺」「手打ち麺」「機械麺」に分類されます。

機械麺とはその名の通り、機械で麺を製造します。
一連の作業は手打ちと変わりませんが、すべての作業を機械がします。
安定した商品を大量生産できるので、多くの商品は機械麺です。

手打ち麺は、人が生地を延ばしてたたんで包丁で切っている麺です。

手延べ麺は、生地を延ばすときに油を塗ってよりをかけながら伸ばしていきます。
熟成しながら麺を延ばすという作業を何度も繰り返して乾燥させている麺です。
手打ち麺は薄く延ばした生地を包丁などで細く切って麺にしていきます。
手延べ麺は生地によりをかけながら編み込むように伸ばしていきます。
「より」というのはねじることです。

では「手延べ麺」についてより詳しく紹介します。

①生地を作る
厳選した小麦、塩、水を調合する。
天気や気温によって出来上がりが変わってしまうため、毎日塩を入れる量を調整しています。
生地を練る作業は機械でも「手延べ麺」になります。
しかし生地を練っている間も職人さんが何度もチェックします。
塩水が全体にいきわたらないと、麺を延ばすときに熟成が遅れるし、練りすぎると生地が熱をもってしまうからです。

②機械で生地を圧縮
これは人がすると生地を足で踏む工程となります。
麺圧機に生地を入れて麺をゆっくりと圧縮します。
大量に生地を作る場合、人の足で全体を均等にふむことはむずかしいのです。

③②でできた生地から一本の麺にします。
生地を休ませたら、生地を2重にして再び圧縮し1本麺に。
これを何度か繰り返します。

④③でできた1本の生地を休ませてから、いよいよ延ばしていきます。
麺をねじりながら細く延ばしていきます。
この時に麺同士がくっつかないように油を塗ります。

⑤④の生地を休ませて熟成させたのち、2本の棒に8の字になるように生地をかけてねじりながらさらに細く、長く。
ねじりとひねりを入れながら延ばしていくことで麺にコシがでてきます。

⑥⑤の後熟成させた後、麺を延ばす作業にはかかせない「旗(はた)」に麺をかけます。
ここまでで9時間程度。
熟練の職人が麺の状態を見ながら、慎重に素麺の細さに延ばしていきます。

⑦箸で麺と麺がくっついていないか確認していきます。
テレビなどで作業風景をみたことがあるかもしれませんね。
麺の間に箸を入れて麺と麺をはなすような動きです。

⑧自然光や自然の風以外にも除湿器や扇風機を調整しながら、麺を乾燥させていきます。
ここでも熟練の職人の目が光ります。
時間をかけて乾燥させることで、滑らかな麺ができるそうです。

⑨後は切りそろえて、帯をつけるだけ。不揃いな麺がないか、異物が入っていないか確認したら包装して商品の完成です。

手延べ素麺は寒い時期に2日間、約36時間かけてつくられています。
寒い時期でないと塩分の少ない麺が作りにくいとされています。
塩分の少ない麺はコシが強く、質の良い素麺となります。

細い麺なのにコシをしっかり感じることができ、滑らかで喉ごしの良い素麺を味わえるのは職人さんの手間と技のたまものといえます。
手延べ素麺を作る際の副産物として「節麺」ができるのですが、この節麺もまた美味しい。
味噌汁の具などに使用されることが多く、節麺が好きな人もたくさんいます。

機械麺の素麺でも美味しい商品はたくさんあります。
価格の違いや麺の状態が均一化されていないという点、食感などが手延べそうめんとは異なる点です。

どちらかと言われると分からなくても、食べ比べると違いは歴然です。
機会があれば食べ比べてみてはいかがでしょう。
素麺の産地と言われるところでは、工場見学や手延べ素麺つくり体験ができるところもあるので一度体験してみるのもおすすめです。

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