小豆じまん

2026年10月20日

手延べそうめんとは?作り方と製造工程、機械製との違い

そうめんはどれも同じように見えますが、作り方は同じではありません。

手延べそうめんは、生地を細く切って作るのではなく、小麦粉と食塩水を練った生地に食用植物油などを塗り、よりをかけながら少しずつ引き延ばして作ります。途中で何度も生地を休ませ、最後に乾燥させて仕上げます。

食品表示基準でも「手延べ干しめん」は、よりをかけながら順次引き延ばし、製麺中に熟成を行い、小引き工程または門干し工程で麺線を手作業で引き延ばしたものと定められています。

ここで少し紛らわしいのが「手延べ」という言葉です。すべての工程を手だけで行う、という意味ではありません。練りや圧延などに機械を使う場合もあります。手延べらしさが表れるのは、生地を切って麺にするのではなく、休ませながら段階的に細くしていく作り方です。

参考:食品表示基準(e-Gov法令検索)

目次

手延べと機械製、いちばん違うのは「切るか、延ばすか」

違いが分かりやすいのは、麺の形を作る工程です。

比較手延べそうめん一般的な機械製そうめん
麺の作り方よりをかけながら、段階的に引き延ばす生地を薄く延ばし、切り刃で細く切る方法が一般的
熟成引き延ばす途中で何度も休ませる製法や商品によって異なる
手作業食品表示基準で定められた引き延ばし工程に手作業を含む成形を機械で行うものが一般的
見た目製法上、太さにわずかな違いが出ることがある比較的そろった形に成形しやすい

手延べだから必ずおいしい、機械製だから劣る、という単純な違いではありません。食感は、小麦粉の配合や塩水、麺の太さ、乾燥、茹で方などにも左右されます。

小豆島の手延べそうめんは、こうして細くなります

設備や細かな工程には、製麺所ごとに違いがあります。ここでは、小豆島で受け継がれてきた手延べそうめんの代表的な流れを、実際の製造風景とともに見ていきます。

1.小麦粉と食塩水を練り、生地を作る

小麦粉と食塩水を練り合わせ、麺のもとになる生地を作ります。小豆島では、この最初の工程を「オデ」と呼びます。

この時点では、まだそうめんらしい細さではありません。ここから生地の状態を見ながら、少しずつ麺の形へ近づけていきます。

手延べそうめんの生地を練っているオデの工程   
小麦粉と食塩水を練り、生地を作る「オデ」の工程。

2.圧延し、いったん休ませる

できた生地を圧延して重ね、いったん休ませます。小豆島では「イタギ」と呼ばれる工程です。

手延べは、一気に細くしていく作り方ではありません。延ばしたあとに休ませ、また延ばす。この繰り返しで、生地の状態を整えながら少しずつ細くしていきます。

3.油を塗り、よりをかけながら細くする

太い麺紐には食用油を塗り、よりをかけながら段階的に細くしていきます。小豆島では、この途中に「油返し」「中より」「小より」と呼ばれる工程があります。

小豆島の手延べそうめんでは、ごま油を使う製法が知られています。ただし、使う油や原材料は商品によって異なります。商品ごとの違いは、原材料表示を確認するのが確実です。

手延べ麺によりをかけながら細くしている製造工程   
よりをかけながら、麺紐をさらに細くしている途中。

4.2本の掛管にかけ、また休ませる

細くしてきた麺紐を2本の掛管に8の字状にかけ、室箱に入れて休ませます。小豆島では「掛場」と呼ばれる工程です。

ここまで来ても、麺はまだ見慣れたそうめんより太めです。このあと、さらに引き延ばす工程へ進みます。

手延べ麺を2本の掛管に8の字にかけて休ませる製造工程   
2本の掛管に8の字状にかけた麺を、室箱で休ませます。

5.少し引き延ばし、もう一度休ませる

掛場で休ませた麺を手で少し引き延ばし、再び室箱に戻して休ませます。この工程を「小引き」と呼びます。

細くする途中で何度も休ませることが、手延べの工程を見ているとよく分かります。

手延べ麺を少し引き延ばして再び休ませている製造途中   
少し引き延ばした麺を、次の工程へ進む前に休ませているところ。

6.箸分けしながら、さらに細く延ばす

熟成した麺をハタにかけ、麺の間に箸を通して、くっついた麺線を離していきます。これが「箸分け」です。

この段階になると、麺は見慣れたそうめんの細さに近づいています。麺線を一本ずつ離しながら、さらに長く引き延ばしていきます。

細く引き延ばした手延べ麺を箸分けしている製造工程   
細くなった麺線を、箸で一本ずつ離していく「箸分け」。

7.乾燥させ、長さをそろえる

最後は乾燥と裁断です。十分に引き延ばした麺を乾燥させ、製品の長さに切りそろえます。

十分に乾燥させたあとは、「子割」で規格の長さに切りそろえます。乾燥方法や設備は製麺所によって異なりますが、ここまで来て、ようやく普段目にするそうめんの姿になります。

なぜ、何度も生地を休ませるのか

手延べでは、「延ばす」だけでなく「休ませる」が何度も入ります。

生地を休ませるのは、ただ作業を止めているわけではありません。手延べ干しめんのJASでは、熟成によって生地の水分がなじみ、引き延ばしで生じたグルテン構造のゆがみが戻ると整理されています。

延ばしては休ませ、また延ばす。手延べそうめんは、この繰り返しで生地の状態を整えながら細くしていきます。

ここを「熟成させるほどコシが強くなる」とだけ説明してしまうと、少し乱暴です。そうめんの食感は、原料の配合、塩水、麺の太さ、延ばし方、乾燥、茹で方など、いくつもの条件が重なって決まります。

参考:農林水産省「手延べ干しめん」JAS

この製法が、小豆島で400年以上続いてきました

小豆島にそうめんの製法が伝わったのは、約400年前とされています。香川県観光協会では、小豆島の池田村の人が奈良県の三輪でそうめん作りを学び、島へ持ち帰ったことが始まりと紹介されています。

冬の農閑期に取り組みやすかったこともあり、手延べそうめん作りは島に広がっていきました。今では、小豆島を代表する食文化の一つになっています。

製法が島に伝わった経緯や、その後どう広がったのかは、こちらの記事で詳しく紹介しています。

400年以上も続く小豆島そうめんの歴史を解説

参考:香川県観光協会「手延べそうめん」

フモト製麺所の寒製手延べそうめん

フモト製麺所では、寒い季節に仕上げる寒製手延べそうめんを主軸にしています。

現在の寒製手延べそうめんは、性質の異なる4種類の小麦粉をブレンドし、コシとのどごしのバランスを考えて仕上げています。自宅用はもちろん、贈答用として選ばれることも多い商品です。

完成した一束だけを見ると分かりにくいのですが、あの細さになるまでには、太い生地から何度も延ばして休ませる工程があります。

実際に茹でるときのポイントは、こちらで紹介しています。

そうめんの美味しい茹で方|茹で時間・洗い方・保存方法を解説

手延べそうめんは、「延ばして休ませる」を重ねて作ります

手延べそうめんは、生地を切って細くする麺ではありません。よりをかけながら延ばし、途中で何度も休ませ、少しずつ細い麺にしていきます。

小豆島では、「オデ」「イタギ」「油返し」「箸分け」などの工程名も受け継がれてきました。一方で、原料や油、設備、乾燥方法は製麺所や商品によって違います。

完成した麺だけを見ると似ていても、そこまでの作り方は同じではありません。手延べそうめんを選ぶときに、産地や味とあわせて製法にも目を向けると、麺の違いが少し分かりやすくなります。


参考・出典
・食品表示基準(e-Gov法令検索)
・農林水産省「手延べ干しめん」JAS
・小豆島手延素麺協同組合「そうめんができるまで」
・香川県観光協会「手延べそうめん」

寒製手延べそうめん

寒製手延べそうめん

麺の色が白く、コシと甘みがあり、独特の風味をもつ小豆島の寒製手延べそうめんです。400年の伝統の味をぜひご賞味ください。

■栄養成分表 100g(約2束)あたり

エネルギー
115kcal
たんぱく質
3.0g
脂質
0.7g
炭水化物
24.2g
食塩相当量
0.249g

※栄養成分は湯がき後を表示

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